Todos_lavender

2018/12/29 (土)

くらしのなかで

気に入ったものは、力をくれる

幸田 文さんの「季節のかたみ」という本のなかに、すてきな一節があります。

何気ない日常の些細な行為や、漂う空気から季節を感じることに、美があるのだと教えてくれる本。
徹底して削られた生活から垣間見える美醜の線引きのようなものを感じさせてくれる、ミニマリストの生き方のお手本みたいな本です。

<以下抜粋>
“(切り詰めても手放さなかったお気に入りの絵付けの小鉢を指して)いってみればこの小鉢は、私には使いきれないのですから、実用品ではなく、不要品であり、役立たずであり、よけいなものなのです。ただ、好きだというだけのものですし、この際、好きの愛着のとは、よけいの上のよけいごとです。でもそのよけいものの優しさは、油滴のようなものでした。ぞんざい飯をかきこんで、かさかさと荒れている心に潤いが戻ります。何によらず自分の気に入ったものは、何かの折に、力になってくれるような気がします。”
<抜粋終わり>

実用品でない、不要品、役立たず、よけい、よけいの上!
でも、
気に入っている、ということが何かの折に力になってくれる気がする、という。

この文章と出会ったとき、書き残しておきたいと思いました。
すてきなやさしい感覚。

師走の大掃除真っただ中、家と物を整理するのにふたたび意識してみたいと思います。
(写真はサロンの植え込みに咲いたラベンダーを摘んで挿したもの)


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